- 畷 太郎
東市長の民間委託優先・公共施設縮小方針で、「ボランティアで紡いだ畷市民の絆」、解体の危機に!
更新日:2020年4月12日
40%の公共施設削減を勝手に決め、その具体化を市民参加の検討会に求めるなんてあり?
1.市の公共施設再編計画案
市は、公共施設総合管理計画の個別計画として公共施設再編計画案を公表しました。骨子は、次のようなものです。
① 2050年までの施設更新費を年平均7億円、長寿命化措置を講じつつすべて更新する場合に比して(床面積削減等で)約40%削減とする。そのため以下の措置を講じる。
② 小中学校については、すべて長寿命化改修を実施する。なお、2050年までに南中・東小以外にさらに2校を廃止する。
③ 小学校プールを廃止、プール授業を民間委託する
④ 南中跡地に、避難所となる体育館を設置する他、市民総合センター(730席の市民ホール・図書館・公民館)、歴史民俗資料館、教育文化センター、福祉コミュニティセンター、楠風荘、市民活動センター(社会福祉協議会)を集約化する。
この際、市民ホールを300席に縮小、楠風荘の風呂は廃止する。
なお、施設の集約化に伴って、近隣公園を増やす。
⑤ 市民総合センター跡に市役所、忍ケ丘子ども園を移設する。
⑥ さつき園作業所への市の施設の貸館、食育活動への保健センターの貸与は廃止する。市民活動センター(多目的室)はくすのき小の多機能化で対応する。
⑦ 四條畷駅、忍ケ丘駅近くのタイムズ跡地に、送迎保育施設と図書室を新設する。
⑧ 市営南野住宅、不燃ごみ資源化施設は廃止、シルバー人材センター、保健センター、市庁舎、防災倉庫は集約することとする。
2.パブリックコメントで出された主要な意見
当会は、この案について市民アンケートを実施し、その結果を踏まえ、公共施設を利用する市民に、パブリックコメントを提出するよう運動しました。
その結果、この提案に対して、市民から多くの意見が出されました。その概要は次のようなものです。
①人口減少予測29%を大きく上回る床面積40%削減を目標とする根拠が不明である。
② 少子化に対しては、学校廃止でなく減築での対応を基本とすべきで、2050年までに2校を廃止するとの計画は、以下の理由で得できない。
子育てしやすい街を目指すといいながら、現在の低い出生率を前提とし、1学年2クラス以下は小規模校として廃止するという競争的教育観に基づいて、2050年までにさらに小中学校を2校廃止するとしている点、は選挙公約に照らしても納得しがたい。
劣化診断調査によれば、築40年の時点で長寿命化改修すればあと40年持つが、現実には小中学校の大半は築50年近くで長寿命化改修することになり長寿命化改修後約30年しか持たない。このため築60年で改築する方が安くつくとの調査結果となっている。調査結果を踏まえるならば、築40年前後(築45年ぐらいまで)に長寿命化改修するか、これができなければ改築までの期間を従来の47年から60年以上にするのが適当のはず。調査結果を無視する理由が不明である。
四條畷の魅力は、子育てのしやすさにあるし、今後求められるのは競争教育ではなく、自己肯定感を持てる行き届いた教育である。
③ プール授業の民間委託は、納得できる理由が示されておらず、検討不十分
近年普及しているステンレス製プールだと、プール授業の民間委託より安い。
学校にプールがあれば震災時の飲料用水としても使える。
民間委託すれば水泳の上達が早い、生徒数が減ればそれに合わせて支出額を抑えられるとの見解かもしれないが、委託できる事業者は限られており少子化で委託先が撤退した場合に責任を持てるのかという問題もある。
④ 市民ホール、歴史民俗資料館は、現在の場所で内容の充実を、高齢者憩の家である楠風荘には風呂の設置を、近隣公園の増加をというのが市民の声。
市民ホールは、市民の運動でできたもので、市民ホールの充実を図ることは市の文化政策方針としても謳われている。
300席にすると小中学校の行事をするのに、他市のホールを借りなければならなくなる。
市民ホールと公民館は、南中跡だと市内の高齢者と小学生以下の子供が利用する上で不便。
歴史民俗資料館は、その建設の経緯から、今の場所にあることに意味があるし、単に展示だけでなく研究機関も併設しており年間の利用者も多い。むしろ、周辺の修景を図る資源ととらえるべきではないか。
楠風荘の風呂を廃止しては、施設の魅力が半減するのではないか。
近隣公園を増やすとしている点、評価できる。
⑤ 市役所は現在の場所でも支障はない、また、公立保育所を1つにして市の中心部に持ってくるとの提案が子育て世代にとり有益との根拠も不明。
将来、公立保育所を1つにすることとし、これを中心部である市民総合センター跡に置いて、駅前に送迎保育所を置くという提案は、送迎保育所を設置した他市で(直接子供を見る保育士と親が話しできないためか)ほとんど利用者がいない事実を無視している。
公立保育所を市の中心部に1つだけとし、忍が丘駅と四條畷駅の近辺にないすると、公立保育所への送り迎えは、通勤の都度、周辺居住区から中心部の保育所に行き、また駅に向かわねばならず、かえって不便になる。
⑥ 行政目的に沿った特定団体の活動を支援するための公共施設貸与の廃止は、行政目的を損なわない代替措置なしで、行うべきではない。
さつき園への貸与を打ち切ると、地域の障碍者の行き場がなくなる。
保健センターの貸与を廃止すると、食育活動ができなくなる。
市民活動センター(社会福祉協議会、多目的室、体育館)の管理は社会福祉協議会が行っていた。体育館のみ現地に残し、多目的室をくすのき小に移した場合、いずれも、誰が管理するのかという問題が起こる。
⑦ 駅前図書室の設置は良いが、送迎保育には問題がある。
3.公共施設の縮小を決めたとして住民の意向を抑え込む市長
東市長はこれに対して次の提案をしました。
① 2050年までの年平均公共施設建設事業費を、長寿命化により費用を抑えた上、さらに公共施設床面積40%削減した場合に対応する年平均7億円とすることを決定した。
② 小中学校を60年で改築することとし、2校廃止の記述は削除する。
③ プールの民間委託は、今年度から施行実施し、その結果を見て対象を拡大してゆく。
⑥ さつき園は廃止でなく、建物を運営団体に売却することで、現在地に存続できるようにする。市民活動センターは廃止する。
④と⑤と⑦
市民総合センター(730席の市民ホール・図書館・公民館)、歴史民俗資料館、教育文化センター、福祉コミュニティセンター、楠風荘、忍ケ丘子ども園、市役所、教育センター、保健センター、送迎保育と駅前図書室については、提案を撤回し、市民参加の検討会で検討してもらう。
このように、市長が検討会に委ねたのは、長寿命化措置を講じつつすべて更新する場合に比して(床面積削減等で)約40%削減する対象施設の再編のあり方です。
これでは、検討会は、子育てしやすい街、高齢者に優しい街を願う市民の要望を踏まえて、住み心地の良い街を生み出す施設への公共施設の更新を検討する場ではなく、市民に集約化と床面積削減への同意を迫る場になってしまいます。
また、非営利団体活動への貸館業務の廃止、プール授業の民営化による学校プールの廃止、地域のコミュニティ施設である市民活動センターの廃止決定は、市民自治の場を縮小し、市民サービスを民間の営利活動に委ねるという東市長の基本方針を示すものです。
そして、この方針が、市民活動の衰退を招き、市民交流の場を奪うことは、市がボランティア活動で支えられている文化・スポーツ関係団体への補助金と事務補助を廃止したことで、ボランティア活動に依存していた文化・スポーツ行事が廃止に追い込まれたことでも明らかです。
4.市長に同調し、検討会を公共施設40%削減具体化の場とした議会
ところが、議会は、2020年2月10日付の「1.施設面積40%削減を必要とする根拠について納得いく説明がなければ、検討委員会設置を認めないでください。2.検討委員会の設置を認めるのであれば、目標値の妥当性の検討を含めて諮問を受け、審議答申する機関として下さい。」との当会の議会要望を退け、「住民の意向を受けた議会の意見を反映したもの」として、市長提案の検討会設置条例を可決しました。
これは、公共施設再編計画の目的を、住み心地の良い街を生み出す施設へと更新してゆくことを犠牲にしても、公共施設整備費年平均7億円、床面積にして40%削減とすることに議会が同意したもので、四條畷市の将来に重大な禍根を残すものと言わざるを得ません。
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