四条畷の活断層と南中体育館下の活断層の調査結果
市の活断層調査結果についての岸田議員の問い合わせに対する田結庄 良昭(神戸大学名誉教授 専門:災害地質、環境地質)の回答 2018.9.15
四條畷市会議員 岸田あつこ 様
返事が遅れて申しわけありません。生駒断層の位置について、ボーリング調査とトレンチが行われ、その結果を添付でいただきました。
〇断層は27500年前の地層を明瞭に変位させ、明らかに活断層であることが明瞭になりました。
〇この結果は、私たちが報告した生駒活断層の活動周期の結果と一致しています。
生駒断層帯は東側隆起の逆断層であり、平均して、3千から6千年程度の間隔で活動した可能性がある。本断層の最新の活動は、西暦400年から西暦1000年ゴロであったと推定され、この時のずれ量は、上下約2~3mであった可能性がある。
生駒断層帯では、断層帯全体が一つの区間として活動し、マグニテュード7.0~7.5程度の地震が発生すると推定される。その際、断層の近傍の地表面には段差等が生じ東側が西側に対して相対的に2~4m高まると推定される。
本断層帯の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率に示すとおり、本評価で得られた地震発生の長期確率には幅があるが、その最大値を取ると、本断層帯は、今後30年の間に地震が発生する可能性が、我が国の主な活断層の中ではやや高いグループに属することになる。
以上がそれに対応しています。その結果、この真上での体育館の建設は無理です。
〇なお、三田村意見書での今後の敷地利用ですが、活断層近傍は断層のずれで壊れる可能性がありますが、約30m校舎が離れています。生駒断層は断層の東側が2~3m隆起する断層で、校舎は西側にあり、十分な耐震対策をすれば、利用可能です。
西側はボーリング調査から、盛土層と沖積層に薄い粘土層を挟みます。その下は古い段丘層、―77mに34万年前の火山灰層、大阪層群上層部があり、洪積層の安定地盤です。
〇「~敷地西側は~軟弱な地層が分布しているため」という点に関してのコメント
表層の数メートルまでに森土と高有機質層があり、これを除去して校舎を建てるか、あるいは安定地盤まで支持杭を打つなどすればOKです。地震波の増幅は大阪平野のどこでも起こります。それなりの対策、オイルダンパーやサンドコレクションパイル工法で砂杭を打てば大丈夫です。
〇昭和46年の校舎建設時にN値を測定しており、地盤面から地下5mまでは、N値は最小3、最大50ということです。N3は極めて軟弱で沖積粘土層を示しているので、砂杭を打ち地盤固めをすればOKとなります。N50は硬く、多分礫に当たったのでしょう。安定地盤です。
地下5mから10mは最小19、最大50ということなので、十分耐える安定地盤です。理想は30以上ですが。
〇「活断層があることは判明しましたが、校舎は活断層にかかっておらず、震度7に耐えうるとする耐震化工事も行っている。活断層があることを理由に学校を廃止すべきなのか」に関してのコメント
震度7に耐えうるとする耐震化工事を行えば、十分利用できます。現在の校舎の耐震化で、校舎は生かせるはずです。あるいは、東側部分の一部を止める方法もあります。
以上、参考にしてください。
田結庄 良昭
南中廃止条例可決(令和元年1月)後の令和元年9月に市が明らかにした専門家2名の意見
令和元年9月4日 施設再編室
兵庫県立大学 宮崎教授(防災工学)ヒアリング議事録MEMO
平成30年10月25日13:00~
施設再編室 藤井
出席者:兵庫県立大学大学院減災復興政策科:宮崎教授
四條畷市:南森室長、脇水上席、藤井
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概要説明
(南中跡地防災拠点整備、学校再編整備計画、活断層調査、土砂災害警戒区域など)
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打ち合わせ内容
(市) 現在の計画では、活断層及びイエローゾーン(土砂災害警戒区域)から離れた位置に、地域コミュニティ施設の整備も
含めた、防災拠点を整備する予定である。耐震性を持った後者は一部存置する。
(宮崎) いいことだと思う。災害時のみの施設ではなく、平常時に追いても地域利用が図られる施設整備を原則とする方がよ
い。地域コミュニティの醸成が地域防災意識の向上につながる。
(市) 防災拠点整備に当たり留意すべき事項などは? 本市としては、かまどベンチや、マンホールトイレは順次整備してゆ
く予定である(現在中学校2校整備済み)
(宮崎) かまどベンチは平常時においても、ベンチとして利用できるので良いと思う。
あとは、炊事・家事を行う部屋があればよいと思う(調理や洗濯等を行うスペース)
(市) その他防災設備等で留意する点などは?
(宮崎) 過去の雑賀時の避難場所は、およそ1週間程度で閉設していたが、昨今の状況では避難期間が長期となってきている。そ
のため、避難所での生活クオリティ向上のため、段ボールなどの簡易ベッドや、カーテンなどの簡易間仕切りか、腰高ま
での段ボール間仕切りの設置が求められる。(教授は、カーテンについては否定的)
また、海外においては、移動式車両でのキッチンカーや、シャワー、トイレ等の設置もある。
(市) 先日の台風で避難された方で、ペットと一緒に避難された方がおり、避難所の入所を断った事例があった。そのあたり
についての見解は?
(宮崎) 昨今、ペット一緒に避難される方は多くなっている。そのため、避難所を分離するなどの配慮ができればよい。隣接す
る敷地(教文センター)にあればベスト。
令和元年9月4日 施設再編室
大阪市立大学 谷口教授(建築工学)ヒアリング議事録MEMO
平成30年10月26日15:00~
施設再編室 藤井
出席者:大阪市立大学大学院工学研究科:谷口教授
四條畷市:西口部長、藤井
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概要説明
(南中跡地防災拠点整備、学校再編整備計画、活断層調査、土砂災害警戒区域など)
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打ち合わせ内容
(市) 現在の計画では、活断層及びイエローゾーン(土砂災害警戒区域)から離れた位置に、地域コミュニティ施設の整備も含
めた、防災拠点を整備する予定である。耐震性を持った後者は一部存置する。
(谷口) かなり具体的に計画されている印象。活断層上の建物(現体育館)は使用しない方がいいので、施設撤去後、植栽帯など
を整備すればよいと思う。
(市) 活断層からの安全な距離は?構造計算上の基準はあるのか?
(谷口) 明確な基準はない。活断層から約18m離れており、かち、耐震補強時のIS値が0.7以上あるので、校舎については活用可能
(東側校舎もOK)
ただし、EXP’J(異なる性状を持った構造体同士を分割し、構造物にかかる破壊的な力を伝達しないようにする継目)の
幅が狭いので、地震時に破壊する可能性がある。ある程度隣接棟とのクリアランス(可動部における隙間)があればよい。
(市) 既存校舎と防災拠点(西側に設置予定にアリーナ)との接続(渡り廊下)に関して留意する点は?
(谷口) 既存校舎と防災拠点整備の地盤に高低差があるため、接続するのは困難と考える。また、地震の被害上、渡り廊下などの
接合部で大きな破壊がみられ、建物間の移動が不可能となる事例があるため、構造設計上十分留意すること。
(市) 既存校舎の利活用と、防災拠点(アリーナ)整備に当たっての構造上の留意点について
(谷口) 平屋、S造りであれば、構造上、構面での設計よりも、立体解析で設計する方がよい。また、耐震等級3級以上があればベ
スト。計算上の重要度係数も1.5程度で考慮するように。躯体に係る建築コストもそんなに大きくない(数パーセント程度)
なお、イエローゾーンに対する対策としては、東側校舎の1階部分をピロティにし、駐車場や吹き抜け広場のスペースに
すれば、土砂災害の影響は受けないと考える。
東側校舎の利用については、常時滞在するスペースではなく、文化財保管などの倉庫等の利用でも可、既存校舎の利用に
当たっては、利用頻度のゾーニング計画を考えること。
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