住民訴訟

 当会は、7月29日に四條畷市を相手に、

①学校統廃合に係る事業の発注手続きの差し止め

②市は、市長土井一憲に、統廃合を進める手段とした民間コンサルタントへの委託料の支払いについてに賠償請求せよ

との内容の、住民訴訟を起こしました。

 なお、9月1日に、南中をつぶすために、その生徒を受け入れるための西中と畷中の工事発注の仮契約がなされ、9月議会の初日である9月2日に契約承認の議決がなされたので、差し止め請求を損害賠償請求に切り替えました。

 

<一般的な学校統廃合の手続き>

 学校統廃合は、校区を解体再編するものなので、子どもたちの現在通っている学校で教育を受ける権利、コミュニティの存続に重大な影響を及ぼします。そこで、通常、廃校となる地域の保護者をはじめとする住民に説明し、住民の意見を踏まえて、教育的観点と地域社会との協力という観点から審議会で審議されます。

 学校適正配置審議会は、最終答申に至る過程で、アンケートの実施、中間答申を出す等、地域住民との共通理解を形成するため、努力をするのが普通です。

 

<決まってもいない学校統廃合を前提とした、まちづくり長期計画>

 ところが、平成26年8月に、市は、学校統廃合が決まってもいないのに、その跡地を活用する「まちづくり長期計画」案を作成し、意見交換会なるものを実施しました。

 意見交換会は、学校統廃合のことだと分からない表題で、その実施は広報にも掲載されず、地域での回覧もされなかったので、8回実施されましたが延べ230人しか参加していません。12月に開かれた2回の経過報告会に参加したのも述べ144に過ぎませんでした。

 また、保護者には、PTA役員から、各学校への影響がメールで伝えられただけで、意見を述べる機会は与えられませんでした。

 それでも、市民から269件の意見が市に寄せられていますが、そのほとんどは周知が不十分、統廃合に疑問ないし反対というものでした。

<学校統廃合の是非を審議せずに事務局見解を答申した学校適正配置審議会>

 しかし、平成27年1月に始まった学校適正配置審議会は「事務局提案の是非を論じない、住民の意見は取り上げない、結論を出すのは事務局」との審議ルールを要請され、諮問事項について何の審議をすることもなく、平成27年3月に事務局案を賛美する答申文を作成し、この答申なるものに基づいて統廃合計画が決定されました。

 

<住民の意見を聞くことも、審議会がその意見を取り上げることも不要とした、教育委員会>

 市民団体「畷のまちづくりを考える会」は、統廃合の決定手続きをやり直すよう求める請願書を教育委員会に提出しましたが、教育委員会は、平成27年5月にこれを不採択としました。その理由は、「意見交換会は賛否を含め住民の意見を聞く場ではない。審議会が住民の意見を取り上げなくても、審議していなくても、答申の内容に審議委員から異議が出ていないから答申として問題はない。」というものでした。

 要は、30年先も見据えて小規模校が出現しないように統廃合するというのが、教育委員会の教育理念であり、計画の決定権は教育委員会にあるから、住民の意見を聞かなくても問題はないというのです。

 

<住民合意がない計画決定>

しかし、平成27年10月に、市民団体「畷のまちづくりを考える会」が、小中学校が廃校となる地域で、子育て世代とそれ以外の世帯の比率、地域の分布を調整して60名にアンケートへの協力を依頼したところ、90%以上の人が協力し、半数を超える人が学校統廃合に反対でした。

 

<2条例制定運動> 

 この結果を踏まえ、平成28年2月から「校区住民投票条例」と「公共建築物の長寿命化の検討を義務付ける条例」の制定を求めるために、新たに、「無駄使いをやめ地域を大切にする条例制定運動」を組織しました。

 この条例制定請求の運動には、森本議員(自民党)、岸田議員(共産党)も協力、4067筆(1/50は896)の有効署名が集まりました。この2条例は、平成28年4月と6月の議会にかけられましたが、賛成2、反対9で否決されました。

 

<市長の論理>

 ところで、市は、平成26年8月に電通等に「まちづくり長期計画の事業化検討調査」を委託し、総務部長は、平成26年9月議会で、国が推進しているインフラ長寿命化計画の自治体行動計画は、統廃合実施の後に作成するとして学校統廃合を前提とする答弁をし、12月議会で、教育部長は、電通等と共にPFIで学校統廃合の事業化を図る旨表明しています。

 そして、電通等は平成27年2月27日の「まちづくり長期計画の事業化検討調査」報告書で、学校統廃合をPFIで実施することにVFMがある(市が直接実施するより民間に一括発注した方が安い)とし、国に対して、「平成27年度に学校統廃合をPFIで実施する事を目指す」と報告しています。

 また、市長は、学校適正配置審議の審議中の3月3日の議会で、27年度に学校統廃合をPFIで実施する旨を表明しています。

 つまり、市長にとっては、審議会の答申を待つまでもなく学校統廃合は既定事実であり、問題は、事業をPFIで実施するかどうかであったのです。従って、27年1月から始まった、学校適正配置審議会は、諮問している統廃合の是非ではなく、統廃合を前提に、その問題点への対応を審議してもらう場であり、諮問事項については統廃合を決めた市長にお墨付きを与える場であるとされていたのです。

 これは、市長と教育委員会が、意見交換会や学校適正配置審議会の前に、学校を統廃合する事に合意していたこと、市長は、学校統廃合を前提に、民間コンサルタントに事業化検討を求め、学校の設計施工管理を一括して民間に任せるのが安いとの報告を受けて学校統廃合をPFIで行うと決めたことを示しています。

 つまり、意見交換会や、その是非の学校適正配置審議会への諮問は、表向き市民や審議会に統廃合について意見を求めながら、実際は統廃合に伴う問題点をできるだけ小さくするための意見を聞くものにすぎないとされていたのです。

<PFIでやれば安くつくから統廃合を行うという市の転倒した論理の結末>

 ところで、電通等が統廃合をPFIで実施すれば安くつくという根拠は、四日市市の4校の改築ではPFIで実施することにVFMがあったから、四條畷の統廃合でも同様の効果を期待できるというもので、改築と大規模改造の違いを無視したものでした。

 しかし、これを根拠に統廃合を決めていたので、市は、改めて積み上げ計算でVFMを評価しませんでした。PFIで行うことにVFMがないとなれば、統廃合の根拠がなくなるからです。

 そして、市は、この電通等の報告書を基に、平成27年9月に統廃合事業をPFIで行う特定事業に選定する旨告示し、9月議会で61.9億円の債務負担行為の議決を得て、同年10月から業者を応募しました。

 しかし、入札に手をあげる業者はおらず、要求基準を引き下げた再公募にも応じるものがなく、入札は不調に終わりました。

 これによって、PFIでの実施の根拠であったVFMがある(市が直接実施するより、民間に設計施工管理を一括してやってもらう方が安い)との告示に根拠がないことが判明しました。

 しかも、平成27年9月議会で、一旦統廃合を認めた議会は、入札者がいなくても、平成28年3月議会で統廃合の承認を見直そうとはしなかったのです。

<住民訴訟へ>

 これでは、学校統廃合について保護者や地域住民の意向を無視してよいことになってしまいます。しかし、校区の学校で教育を受ける権利や、コミュニティの存続に重大な影響を与える以上、適正手続きの保障なしに、これを一方的に奪うことは許されません。

 学校適正配置審議会は、この適正手続きを保障するために置かれているのであす。これは、行政手続法の保障を教育分野の特質に合わせて具体化したものといえます。

 そこで、当会は、四條畷市を相手に監査請求を行い、その棄却を受けて住民訴訟を行うこととしました。

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